小児と低亜鉛血症

解説ページ

低亜鉛血症については、「低亜鉛血症とは」をご覧ください。

小児の亜鉛摂取推奨量

小児が健全に発育するためには、3大栄養素のみならず、亜鉛などの微量元素の適切な摂取が不可欠です。
「日本人の食事摂取基準」では、それぞれの栄養素ごとに各年齢の摂取基準が提示されており、これを体重当たりで換算すると、乳幼児は成人の2~3倍の摂取が必要となります(表1)。

表1 栄養素の摂取推奨量1)

表1 栄養素の摂取推奨量

小児において亜鉛不足をきたす要因

小児の亜鉛不足は様々な要因によって起こります(表2)。

表2 小児における亜鉛不足の要因1)

表2 小児における亜鉛不足の要因

小児にみられる亜鉛不足による症状

小児では亜鉛不足によってあらわれる症状を表3に示します(表3)。

表3 小児にみられる亜鉛不足による症状1)

表3 小児にみられる亜鉛不足による症状

亜鉛補充療法による治療効果

原因不明の低身長小児に対して、血清亜鉛値を検査し、基準範囲より低値(70μg/dL以下)であれば亜鉛投与を試みることを児玉らは報告しています1)。Nakamuraらは亜鉛補充療法により身長の伸びが改善したと報告しています。亜鉛不足による低身長小児を対象に、成長速度を評価尺度として亜鉛補充投与の有効性を検討した無作為化非盲検無処置対照試験の結果、亜鉛補充群では投与前後で身長成長速度に増加が認められました2)。また、先天性の亜鉛吸収障害においても、大量の亜鉛投与(乳児で3mg/kg/日、幼児で30~50mg/日、学童以降は50~150mg/日、皮膚症状や血清亜鉛値を参考に投与量を増減)により症状が改善するとの報告があります1)


1) 児玉 浩子:亜鉛栄養治療 3(1) : 4-13, 2012. 一部改変
2) Nakamura T, et al. :J Pediatr 123 :65-69, 1993.

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